犬の僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流症)犬の心臓病の中で最もポピュラーな疾患です。一般的には小型犬の中年期以降に僧帽弁という心臓内の弁が萎縮し弁の機能が低下することにより、血液の流れがスムーズに流れなくなり持久力が無くなり、活力がなくらり、咳、食欲不振、失神などの症状がでます。急性の症状として肺(肺胞)に水が貯まる肺水腫の病態になると適切な治療を迅速に行わないと呼吸困難に陥り死亡してしまいます。早期に診断し、心臓を楽にし進行を抑えるお薬を続けることによって心臓を長持ちさせることが治療の柱になります。あまり特徴的な所見がなく何となく元気がなく、寝ている時間がながくなったため、年齢のせいだと思っている飼い主さんがほとんどです。定期的に病院でチェックしてもらいましょう。 写真は肺の後葉全域に肺水腫の所見が特徴的に出ているレントゲン所見です。
四角の部分が肺水腫の場所、心臓の辺縁が肺水腫のため不鮮明である。
四角の部分が肺水腫の場所、心臓の辺縁が肺水腫のため不鮮明である。
犬フィラリア症(犬糸状虫症)皆さんご存知のフィラリア症です。感染した犬の血液中のフィラリアの子虫を吸血性の蚊が吸い取り、その蚊が他の犬に子虫を感染させていきます。半年で成虫になり心臓の右心系および肺動脈に寄生することにより咳、疲れやすい、体重減少、倒れる、腹水がたまりお腹が大きくなる等の症状がでます。勿論予防薬を決まった期間投薬することによって100%予防できます。感染した犬への予防薬には注意を要するため、要指示薬に指定されています。予防の前には血液検査が安全のために重要です。フィラリア薬はいろいろなタイプがありますので、お問い合わせください。写真は頚静脈からの吊り出し手術により右心房肺動脈から摘出したフィラリア成虫。
写真は末梢の血液中のフィラリア子虫(ミクロフィラリア)
写真は腹水を伴った典型的慢性経過のフィラリア症レントゲン所見
写真は末梢の血液中のフィラリア子虫(ミクロフィラリア)
写真は腹水を伴った典型的慢性経過のフィラリア症レントゲン所見
猫の肥大型心筋症猫の特徴的な心臓病です。原因は不明、一部は遺伝性ともいわれます。心臓の壁が肥厚し、その結果心臓の内腔が狭くなり血液がうまく全身に送れなくなります。様々な心不全の症状(息切れ、胸水、腹水、肺水腫など)の他、時に心臓内で血栓ができ腎臓の動脈や大動脈の後部(内腸骨動脈基部)などに詰まり、急速に腎不全や後脚の脱力を起こし、長期の予後は厳しいものが多いです。この他にほぼ無症状からゆっくり進行する場合もあり、診断がつきにくい場合もかなりあると思われます。写真は発症時のレントゲン所見です。
写真は同一個体の発症前のレントゲン所見です。
写真は同じ個体の腹部超音波検査所見です、カラードプラーで後大動脈に血栓ができ、血流が遮断されているのが分かります、臨床症状は後肢の突然の歩行不能で股動脈の脈圧の触知不能がありました。
写真は同一個体の発症前のレントゲン所見です。
写真は同じ個体の腹部超音波検査所見です、カラードプラーで後大動脈に血栓ができ、血流が遮断されているのが分かります、臨床症状は後肢の突然の歩行不能で股動脈の脈圧の触知不能がありました。