様々な大きさ、成分の結石が泌尿器領域にできることがあります。写真1は膀胱から摘出した結石、雄の尿道に詰まって排尿困難を起こす尿道結石を膀胱内にもどして摘出もしくは尿道切開して摘出したものです。一般的には若いときに形成しやすいストルバイト結石や中年以降はシュウ酸カルシウム結石などの様々な成分の結石が形成されやすいようです。また腎臓結石がみられる場合もあります。臨床症状は雄の尿道に閉塞した場合は排尿困難、嘔吐、食欲不振です、早く閉塞を解除しないと生命にかかわります。膀胱内結石の場合は症状がみられない場合と頻尿、血尿等の膀胱炎症状がみられる場合があります。治療は結石によっては処方食で溶解する場合もあります。外科的に摘出手術が一般的です。摘出した結石の成分を検査し成分によっては処方食による予防が可能です。
犬の膀胱結石(X線所見)
犬の膀胱結石・尿道結石(閉塞)
写真は膀胱内に小さな結石が多数存在、骨盤部尿道に閉塞した結石が数珠状に連なって見える。
犬の尿道結石(閉塞)
写真は陰茎骨付近の尿道に閉塞した結石、この部位に閉塞しやすいようです。排尿困難のため膀胱が尿で充満し拡張している。この症例は前立腺も肥大している。
本的には犬の場合と同様ですが、猫の場合は膀胱結石、雄猫の尿道に砂状の結晶が詰まり尿閉を起こすものが一般的ですが、腎臓内に結石ができ尿管に流れて尿管閉塞を起こす症例をいくつか経験しています。この場合腰部の痛みが現れる場合、またはっきりしないが少し元気がない程度の場合があります。片側の尿管に詰まっても、もう片側の腎臓機能が正常であれば臨床症状が顕著でない場合が多いのかも知れません。写真は腎臓内と膀胱付近の尿管に閉塞した結石です。
猫の尿管結石・腎臓結石
写真は上症例の腎臓、尿管での数回にわたる摘出手術を行った症例の結石(シュウ酸カルシウム)です。
猫の尿管結石(尿路造影1)
尿管に結石が詰まり閉塞した症例です。静脈性尿路造影という検査で泌尿器系を分かり易く造影しました。写真左では尿管に閉塞した結石が確認でき、造影剤が詰まった所までしか写っていません。
写真右は同症例の左側腎臓はやや腫大し結石の尿管閉塞が確認できます。右側腎臓は萎縮し小さく腎結石も写っています、右側腎臓はほとんど機能していないと思われます。事実左側尿管に結石が詰まってから急性腎不全状態に陥りました。尿管結石切除手術により状態は安定しました。
猫の尿管結石(尿路造影2)
猫の膀胱結石
膀胱内に結石を形成し、頻尿や血尿もしくは排尿の最後に血液が混じったりします。様々な成分の結石が形成されます。特別な処方食で溶解する結石や、摘出手術が必要な場合もあります。摘出した結石は成分を調べます。予防できる成分の結石の場合には特別な予防のための処方食をおすすめします。
猫の膀胱結石摘出
猫の膀胱から摘出した様々な結石。
猫の泌尿器症候群1
猫は人や犬と違い尿を濃縮する能力に長けた動物です。先祖が乾燥地帯からでたため、水をあまり飲まず体脂肪を水に変えて代謝する能力をもっています。そのため尿が濃くなると尿中にリン酸マグネシウムといった結晶を析出させ、膀胱炎や尿閉の症状をよく呈します。特に雄猫の場合は尿道に結晶が詰まり尿が完全に出なくなることもよくあり、緊急の処置を要します。処置が遅れると尿毒症や高カリウム血症のため突然に死亡する場合もありあります。写真は尿がでない違和感のため陰茎の先端部を舐めすぎ先端部が削り取られています。少しでも尿の出が悪い徴候が見られたら早めに動物病院を受診してください。一番の原因は食事です。繰り返す猫は予防用の処方食をおすすめします。その他の要因としてトイレが汚い、トイレの数が少ない、飲水できる環境が悪いとこの病気を発症する危険性が高まります。
猫の泌尿器症候群2
写真は尿閉の猫からの膀胱内に貯留していた血尿です。中に結晶を多く含んでいます。
猫の泌尿器症候群3
写真は上の写真の写容器の壁に付いた尿道を塞いでいた結晶の塊の拡大像です。
猫の泌尿器症候群4
写真はその顕微鏡像、沢山の結晶が認められます。
犬の膀胱結石・尿道結石
猫の腎臓結石・尿管結石・腎臓結石
猫の泌尿器症候群